映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、過去の悲惨な出来事がきっかけで心を閉ざした男性が、死んだ兄の息子との交流を通じて、徐々に前を向いて歩き出すという話です。
マンチェスター・バイ・ザ・シーのあらすじ
リー・チャンドラーは、マサチューセッツ州で清掃員の仕事をしながら、地下アパートでひとり暮らしをしています。ある時、漁師をしている兄のジョーが心停止したことを知らされますが、リーが病院に行く前にジョーは死んでしまいます。
リーが葬儀の準備をしていると、ジョーの遺体は春になって雪が解けるまで埋葬できないことを知ります。リーは、埋葬が遅れるまで、マサチューセッツ州のマンチェスター・バイ・ザ・シーにあるパトリックの家に残る計画を立てます。リーはジョーの弁護士と会い、ジョーがパトリックの法定後見人として自分を指名したことを知り、驚きます。
リーはかつて、当時の妻ランディと3人の小さな子供たちと一緒にマンチェスターに住んでいた時のことを思い出します。ある夜、酔っ払ったリーは、自身のミスで火事を起こし、子供たちを死なせてしまったのです。
警察はこれを事故とみなし、リーに対する刑事責任は問われませんでした。しかし、警察署で取り調べを受けた後、罪悪感に苛まれたリーは警官の銃を盗み、自分を撃とうとします。結局妻とは離婚し、リーは町を去ります。
リーはこの過去の出来事から、後見人になることに気が乗らず、また子どもたちを失った場所であるマンチェスターに戻ることを嫌がっています。
リーは、パトリックをボストンに連れて行こうとしますが、パトリックはマンチェスターから離れるのを嫌がります。そのため、リーはパトリックが学校を卒業するまでマンチェスターに滞在して良いと約束します。
また、パトリックの母エリスが薬物依存症で家族を捨てたことが明かされます。リーは、パトリックが彼女と再会することに反対する。
パトリックはエリーゼにジョーの死をメールで伝え、彼女はパトリックを昼食に誘います。パトリックは彼女と婚約者のジェフリーと食事をしますが、気まずい時間が流れ、パトリックは彼女と心を通わせることができないことに気づきます。
そんな中、リーは元妻のランディと、彼女の生まれたばかりの子どもディランに出会います。ランディは、離婚時のリーへの仕打ちを反省し、ランチに誘います。しかし、リーは自分にはその資格がないと思い、感情的にならないようにその場を離れます。
取り乱したリーは、バーで酔いつぶれ、見知らぬ人と喧嘩をして気を失います。家族ぐるみで付き合いのあるジョージの居間で目を覚まし、泣き崩れます。
リーはジョージ夫妻にパトリックを養子にしてもらうよう手配し、リーがボストンで仕事をする間、パトリックがマンチェスターに残れるようにします。パトリックはリーになぜマンチェスターに残らないのか理由を尋ねると、リーは 「I can’t beat it..(乗り越えることができない)」と答えます。
ジョーの埋葬式の後の散歩で、リーはパトリックに対し、いつでも来られるようにボストンで余分な部屋のある住居を探していると話します。
最後、リーとパトリックは、ジョーの改装されたボートで釣りに出かけます。
マンチェスター・バイ・ザ・シーのキャスト
- リー・チャンドラー / ケイシー・アフレック
- ランディ(リーの元妻) / ミシェル・ウィリアムズ
- ジョー・チャンドラー(リーの兄) / カイル・チャンドラー
- パトリック・チャンドラー(ジョーの息子) / ルーカス・ヘッジズ
- ジョージ(リーの友人) / C・J・ウィルソン
マンチェスター・バイ・ザ・シーの感想
リーはもともとは陽気な性格の人間だったようですが、子どもを死なせてしまう事故を起こしてからは性格が全く変わってしまいます。妻のランディと再会するシーンは見ていてとても悲しいです。
おそらく、リーは最後までこの出来事を克服することはできないのでしょうが、最後で少しですが何となく明るい変化があったようにも思えました。
傷を負った人がそれを克服する物語というよりも、最後まで克服はできないけど、それでもなんとかやっていく、というほうが近いように思えました。