時間は「使うもの」ではなく「生きる」もの?(見田宗介『社会学入門』)

見田宗介『社会学入門-人間と社会の未来』という本を読みました。

本にはいくつも面白い文章があるのですが、その中の一つに「時間」について書かれた次のような文章がありました。

バスを待つ時間はむだだという感覚はなくて、待つ時には待つという時間を楽しんでしまう。時間を「使う」とか「費やす」とか「無駄にする」とか、お金と同じ動詞を使って考えるという習慣は「近代」の精神で(”Time is money”!)、彼らにとって時間は基本的に「生きる」ものなのです。

そういえばぼくたちでさえ、旅でふしぎに印象に残る時間は、都市の広場に面したカフェテラスで何もしないで行き交う人たちを眺めてすごした朝だとか、海岸線を陽が暮れるまでただ歩き続けた1日とか、要するに何かに有効に「使われた」時間ではなく、ただ「生きられた」時間です。

p32(見田宗介『社会学入門』)

時間は「使う」ものというのが当たり前の社会に生きていると、時間を「生きる」という感覚は、想像するのが難しい人も多いのではないでしょうか。

この文章では「時間を生きる」ことについて、「何か有効に「使われた」時間ではなく」と説明されています。

意味は「その時間を過ごすこと自体が目的であるような」過ごし方なのかなと思いました。時間が「手段」ではなく「目的」になっているということでしょうか。

またこの文章にもあるように、時間を「使う」という考え方は、「時間を無駄にしてしまった・・」などと後悔の気持ちを生む原因にもなると思います。

時間を「生きる」という感覚でいれば、「時間を無駄にした」という後悔自体がそもそも成立しないのではないかと思うからです。

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「時間を生きる」精神ではお金持ちになれない?

ただし、このような考え方(時間を生きる)をしているとお金持ちにはなれないかもしれません。

たとえば、この本には「時間を貨幣と同じように考えてこのように「使う」精神こそが資本主義社会、つまり「近代の社会」を形成したことを、ウエーバーは見事に解き明かします(p38)」とも書いてあります。

つまり、「資本主義の精神」とは時間をお金に換算すること(お金と同じように時間を使うこと)なのです。「時間を生きる」という精神では、お金をたくさん稼ぐことは難しいのです。

他にも面白い話がいろいろあります。「社会学入門」という題名ですが、社会学のオーソドックスな教科書という感じではなく、著者のこれまでの思考のエッセンスが盛り込まれた本というほうが近いと思います。


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