『全然大丈夫』という映画を見ました。ストーリーは以下です。
30歳を目前に人生に行き詰まった幼なじみ2人が1人の女性に恋をする人間ドラマ。癖のある登場人物たちの風変わりな日常をさらりと描く。
一言で言うと、癒される映画です。ゆるいテンポの感じもいいです。
特に、木村佳乃演じる木下あかりという女性が印象的でした。とにかく不器用です。他の人が普通にできることができません。そして、その不器用ぶりは笑えないレベルです。
「木村佳乃の不器用ぶりがすごい・・・」
たとえば、ティッシュペーパーのふたを開けられない、エレベーターのボタンを押して指を骨折してしまう、職場の(高価な)機械を倒してしまう、記念撮影をしようとしてカメラを壊してしまう・・・などなどです。
特に強烈なエピソードは、木村佳乃が古本屋で働いていた時の話です。木村佳乃は客が買おうとした本にコーヒーをこぼしてしまいます。あせった木村佳乃はコーヒーを拭くのですが、よけいに汚れが広がってしまいます。それを見てさらにあせった木村佳乃は、さらに力を入れて拭きます。すると、さらにますます汚れが広がってしまいます・・・。
個人的には、今話題の発達障害の人の特徴に近いのかなとさえ思いました(部屋で雨音のテープを聴いているのも、発達障害の人にありそうだと思いました)。
とにかく不器用なため、仕事でも失敗ばかりで長続きしません。周りの人からは労働に向いていないとさえ言われてしまいます。
「趣味は不気味な絵を描くこと」
そんな木村佳乃の趣味は、不気味な絵を描くことです。色使いやペンのタッチが独特で、不気味に見えます。木村佳乃の部屋には、この不気味な絵がたくさん飾られています。
また、ホームレスの人と一緒に川で魚を釣ったりもします。もしかしたら社会不適合ぶりに共感しているのかもしれません。
しかし、その後木村佳乃は偶然知り合った人との縁で、古本屋の仕事を見つけます。さらにそこの客で、木村佳乃の不気味な絵が気に入り、買いたいという男性が現れます。そして、木村佳乃はその男性と一緒に暮らすようになり、幸せを手に入れます。
最後、木村佳乃は、自分を助けてくれた男性(岡田義徳)に「ありがとう」といいます。このシーンはたった一言ですが、言葉の重みがとても伝わってくる、感動的なシーンでした。それで映画は終わります。
不器用でダメな人間だけど、それでも全然大丈夫と、存在を肯定してもらえるような作品だと思いました。
映画『全然大丈夫』の監督・キャスト
監督は藤田容介さんです。他の作品に、大島美幸(森三中)が主演した『福福荘の福ちゃん』などがあります。
キャストは以下です。
- 遠山照男:荒川良々
- 木下あかり:木村佳乃
- 小森久信:岡田義徳
- 骨董修復職人・湯原:田中直樹
★★★★★