映画『セデック・バレ』は、日本統治時代の台湾で起こった、先住民「セデック族」による抗日暴動・霧社事件を描いた作品です。
全2部作で、「第一部 太陽旗」は143分、「第二部 虹の橋」は131分の、全4時間36分におよぶ大作です。
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映画『セデック・バレ』のあらすじ
セデック・バレ 第一部 太陽旗
先住民の存在を障害とみなす
1895年、清は下関条約によって台湾を日本に割譲しました。日本の軍部は、台湾の資源開発を進める上で、先住民の存在を障害と見なしていました。
その後、日本軍が先住民に襲撃される事件が発生します。これを契機として、日本軍と、モーナ・ルダオが率いる先住民族セデック族との戦いが始まります。
いくつかの戦闘を経て、日本軍は彼らのマヘボ集落とその周辺地域を支配下に置ました。
その後、20年の歳月が流れ、マヘボ集落をはじめとする他の集落では、男性たちは低賃金の仕事に従事させられ、銃の携帯や伝統的な狩猟を禁じられるようになりました。女性たちは日本人の家で働くようになり、伝統的な織物の仕事を諦めざるを得なくなりました。
事件のきっかけとなる結婚式
1930年の晩秋、モーナの集落では若いカップルの結婚式が行われました。その結婚式には、新たに赴任してきた神経質な日本人警官・吉村が、視察のために訪れます。
モーナの長男であるタダオ・モーナは、自家製の酒をふるまおうとしますが、吉村はそれを不衛生だと考え、口にしません。
その後、タダオと弟のバソ・モーナとの間で口論が起こり、やがてけんかに発展します。事態を危険と判断した吉村は、集落の住民に対し、罰を与えると脅します。
この出来事の後、モーナは吉村との関係を修復しようと試みますが、吉村は謝罪を受け入れようとしません。ホゴ村のピホ・サポをはじめとする若者たちは、この処罰を受け入れることはできないと考え、モーナに対して日本軍と戦うよう強く迫ります。
事件の勃発
モーナは彼らに対し、「日本軍に勝つことは不可能だ」と語ります。しかし同時に、もはや戦いは避けられないとも考え、戦う決意を固めます。数日後、モーナは同盟関係にある村々に協力を呼びかけ、日本人がスポーツ大会を開く日に攻撃する計画を立てます。
日本名の花岡一郎を名乗り、警察官として働いていた青年ダッキス・ノービンは、モーナが戦争の準備を進めていることに気づきます。彼は戦争を避けるようモーナを説得しますが、モーナは花岡に協力を求めます。
セデック族の人々は、この戦いで自分たちが確実に命を落とすことを理解していました。それでも彼らは、恥を抱えて生き続けるよりも、名誉のために戦って死ぬことを選びます。
1930年10月27日、計画通りに攻撃が実行され、日本人の男性、女性、そして子どもまでもが殺害されます。先住民たちは警察署を襲撃し、建物内にあった銃を奪います。一人の日本人警察官がその場から逃げ出し、この事件を外部に伝えました。
セデック・バレ 第二部 虹の橋
部隊を派遣、毒ガスを使用
事件の報せを受けた日本政府は、この蜂起を重大な危機と受け止めました。そして、鎌田弥彦少将を指揮官として、警察官や兵士あわせて延べ約3,000人からなる部隊を派遣します。
しかし、戦闘は次第に膠着状態に陥ります。これに激怒した鎌田少将は、先住民に対して違法とされる毒ガス弾の使用を命じました。
さらに、モーナの集落に住む男女や子どもに懸賞金をかけ、別の集落に住むタイモ・ワリスとその部下に対して、モーナと戦うよう命令します。
追い詰められるセデック族
やがて戦況はモーナ側に不利となり、毒ガスの使用やタイモの軍勢によって、多くの人々が命を落とします。モーナの軍勢は集落を追われ、洞窟へと逃げ込みました。
モーナとその部下たちは、マヘボ集落を占領している日本軍に対し、必死の攻撃を続けます。その戦いの中で、バソ・モーナは重傷を負い、兄であるモーナに自分を殺してほしいと頼みます。また、パワン・ナウィと少年たちは最後まで戦い、命を落としました。
一方、タイモたちは、ピホ・サポらによって川で待ち伏せされます。タイモは死の間際、自分が若い頃のモーナと戦っているという幻覚を見ます。
戦いが終わりに近づいていることを悟ったモーナは、タダオ・モーナに指導権を託し、自らは妻子のもとへ戻ります。映画では、この場面について、モーナが妻を撃ったという説と、妻が自ら首を吊ったという説の二つが暗示されています。
その後、集落の一部の人々は降伏して生き延びますが、別の先住民たちは、死者の首を日本軍に差し出し、その見返りとして報酬を得ます。
生き残った先住民たちの中には、森で首を吊り、命を絶つ者もいました。また、ピホ・サポは捕らえられ、拷問を受けた末に命を落とします。
先住民に武士の精神を見る
戦争が終結すると、鎌田弥彦少将もまた敵の精神に強い感銘を受け、次のような言葉を残しました。
「300人の兵士が数千人の軍隊に抵抗し、戦闘で死ぬことなく自ら死を選んだ。なぜ私は、台湾のこの辺鄙な山岳地帯で、すでに消えてしまった武士の精神を見ているのだろうか?」
反乱に参加した村の生き残りたちは家を追われ、居場所を失います。モーナは行方不明となっていましたが、やがて先住民の猟師が、鳥に導かれるようにして彼の遺体を発見します。
そしてその猟師は、モーナとその仲間たちが、セデック族の伝説に語られるとおり、虹の橋を渡っていく姿を目にします。
映画『セデック・バレ』のキャスト、監督
映画『セデック・バレ』のキャスト
- モーナ・ルダオ /リン・チンタイ(林慶台)- セデック族のリーダー
- タイモ・ワリス / マー・ジーシアン(馬志翔)-幼いころモーナと対立。蜂起後は小島に誘われてモーナと戦う
- 小島源治 / 安藤政信-先住民に友好的な日本の警官
- 鎌田弥彦 / 河原さぶ-日本軍の指揮官。
映画『セデック・バレ』の監督
- 魏 徳聖
台湾の台南出身の映画監督です。日本の台湾統治時代をテーマにした作品を多く手掛けています。
他の監督作品に『海角七号 君想う、国境の南』や『KANO 1931海の向こうの甲子園』(制作・脚本)があります。
映画『セデック・バレ』のロケ地
新北市林口区太平嶺にある阿榮片廠(映画撮影所)にセットを設けて撮影されました。
映画のセットは映画美術の巨匠・種田陽平氏の設計・施工によるもので、12,000坪の敷地に、8,000万台湾ドルをかけて建設されました。
映画『セデック・バレ』の感想
実際の事件を基にしている
映画は、霧社事件を基にしています。
日本統治時代に、霧社の学校で行われた運動会の会場に、刀と小銃などで武装した先住民の男たちが乱入し、子供を含め、その場にいた日本人を惨殺した事件です。
背景には、先住民族の人たちの日本の統治に対する不満がありました。
私はこの映画を見るまでこの事件を知らなかったので、かなり驚きました。台湾の人は親日とよく言われるので、過去にこんな悲惨な事件があったのは意外でした。
その後、蜂起した先住民の人たちは全員日本軍に鎮圧されます。
ちなみに、映画の「第一部 太陽旗」が蜂起するまでの話で、「第二部 虹の橋」が蜂起してから日本軍に鎮圧されるまでの話です。
アクションシーンがかっこいい
アクションシーンがとてもかっこいいのも特徴です。
先住民の戦士たちが、山の地形を上手に利用し、刀や弓矢で戦力に勝る敵を倒していくシーンは迫力があります。
アクション映画としてもよくできていると思います。
日本の俳優も多数出演
日本の俳優では、安藤政信、木村祐一、河原さぶ、そして以前は日本のテレビによく出ていたビビアン・スーが出演しています。
ちなみに、ビビアン・スーは先住民族の血をひいているそうです。



