岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』感想とイラスト

岩井俊二監督の映画、『リップヴァンウィンクルの花嫁』を見ました。

ストーリーと感想を紹介します。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』のストーリー

派遣教員の皆川七海(黒木華)が主人公です。

七海はSNSで知り合った鉄也という男性と結婚します。

しかし、七海は鉄也の母親から浮気を疑われ、離婚せざるをえなくなります。

一方的に家を追い出された七海は、あてもなく東京の街をさまよいます。

七海はたどりついた小さなホテルで掃除の仕事を始めます。

その後、七海はバイトで里中真白(Cocco)という女性と知り合い、仲良くなります。

そして、真白と一緒に住み込みのメイドの仕事を始めます。しかし、真白の体に異変が現れていく・・・という話です。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』の「見どころ」

派遣教員のエピソード

特に、最初の派遣教員のエピソードがとてもリアルで面白いです。

七海は大学の教育学部を卒業し、派遣で教員をしています。

おとなしいせいか生徒からは馬鹿にされています。

ある時、七海が教室に入ると教壇の上にマイクが置かれています。

七海がびっくりしてマイクを見ていると、生徒の一人が「先生の声小さいから、次からはこれを使って話してください」と言います。

七海は断れず、言われた通りマイクで話を始めます。生徒からは「本当に使っているよ」とクスクス笑われてしまいます・・。

結局この出来事がばれ、七海は派遣の契約を切られてしまいます。

レールから外れ、堕ちていく様子が悲惨

また、黒木華演じる七海が人生のレールから外れ、一気に堕ちていく様子が悲惨です。

七海は大学の教育学部を卒業して教員になり、結婚してからは仕事を辞めて専業主婦になります。いわばレールに沿った生き方をしています。

しかし、そんな生活がある日突然壊されてしまいます。相手の母親から不倫を疑われ離婚することになるのです。

七海は家を追い出され、何もかもを失います。突然レールから外れることを強いられるのです。

七海が半泣きになりながら、大きなトランクをゴロゴロさせて東京の街をさまよう様子は悲惨です。

堕ちているのか昇っているのか

しかし、その後七海はこれまでに経験したことのないような様々な出来事や事件に直面し、それからまた元の日常へと戻ります。

この七海を見ていると、世の中にはこれで絶対安心というものはなく、レールに沿って生きていてもいつそれが壊されるかわからないこと、そしてレールから外れてもそれで終わりというわけではなく、そこから始まるまた別の生き方があるんだなと思いました。

また、以下の岩井俊二監督のインタビューでも、そのようなことが言われています。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二監督インタビュー 残酷で美しい現代のフェアリーテイルはいかにして生まれたのか。

一見すると七海にとってはどんどん堕ちていく話なんですけど、堕ちているように見えて実は昇っているような、そういう話がつくれないかなと思っていました。社会のヒエラルキーを堕ちていく話というのは、往々にして非常に失礼なことになるんです。この前までお屋敷に住んでいた人が長屋住まいになるくらい落ちぶれてしまった、というような。堕ちた先にも人は住んでいるし、その人たちなりの生活があるわけじゃないですか。「長屋の人たちがそんなに悪いのかよ」っていうことにもなるし(笑)。この社会から堕ちることは、実は解放されることだったり、堕ちているように見えて逆に伸びあがっていくことなんじゃないか。そういうことを描けたら、とは思っていました。

確かに、最後の七海が新しいアパートでほっとしているシーンは、どこか解放されたような感じにも見えました。

★★★★★

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