映画『フレンチアルプスで起きたこと』を見た。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞したという作品。
ストーリーは、休暇でアルプスに来た夫婦が、ある事故をきっかけに関係がおかしくなっていくという話。
家族は食事をしてるときに雪崩に巻き込まれそうになる。結局大丈夫だったのだが、そんな危険なときに、夫は子どもと奥さんを守らず1人で逃げてしまう。それがきっかけで夫婦の関係がこじれ、夫は奥さんに延々と責められ続けるという話。
奥さんの追求の仕方が容赦ない
とにかく、奥さんの夫への責任の追求の仕方が容赦ない。
夫婦喧嘩でよくあるような、奥さんが感情を爆発させてわめきちらすという感じではない。むしろ優秀な刑事や探偵のように、冷静に論理的に一つ一つ丁寧に質問をして責任を追求していく。夫にいっさいの逃げ場を与えない。
この理由の一つは、夫が逃げたことを認めなかったためもある。おそらく恥ずかしかったり、情けなかったりして、認めたくなかったのだろう。奥さんに追及されても「そんなことはない」と否定する。
しかし結局夫は逃げた事実を認め、奥さんと子どもの前でわんわんと泣き崩れる。
本当の意味での男女の力関係の逆転
日本でも鬼嫁のドラマなど、男女の力関係が一見すると逆転しているように見えるものが人気だが、おそらくそれらの多くは本当に力関係が逆転しているわけではない。
根底にはしっかりとした男女の力関係があり、だからこそ男性も苦笑いなどしながら見ることができるような気がする。本当の意味で関係が逆転しているわけではないからだ。
しかしこの映画はそれがない。男性は女性から本当の意味で追いつめられているし、完全に無力化して泣き崩れる様子がよくわかる・・・。だから男性の多くは見ていて辛い気持ちになるような気がする。
また、いざという時に自分だったら逃げずにいられるだろうかなど、いろいろと考えさられる映画だと思った。
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