DeepSeekの創設者兼CEOの梁文锋の経歴を紹介します。
もともとはAIを使って投資を行うクオンツトレーディングをしていましたが、その後DeepSeekを立ち上げています。
梁文锋の概要
梁文锋(Liáng Wénfēng)は、1985年生まれの中国の起業家、実業家です。
クオンティティブヘッジファンド、High-Flyerの共同創設者であり、同社の人工知能部門であるDeepSeekの創設者兼CEOです。
出身地は広東省湛江市で、父親は小学校教師です。
梁文锋の教育歴
浙江大学に入学し、2007年に電子情報工学の学士号を取得し、2010年に情報通信工学の修士号を取得しています。
彼の修士論文のタイトルは「基于低成本PTZ摄像机的目标跟踪算法研究(低コストPTZカメラに基づくターゲット追跡アルゴリズムの研究)」です(项志宇教授の指導の下、低コストPTZカメラに基づくターゲット追跡アルゴリズムの研究が行われました)
梁文锋のキャリア
大学時代
2008年、梁文锋は大学の同級生とチームを組み、金融市場のデータを蓄積したり、機械学習などを用いたクオンツトレーディング(高度な数学的手法を用いてさまざまな市場や金融商品、投資戦略を分析すること)を研究したりしました。
この時期は、2007年から2008年の金融危機がピークに達していた時期でした。
卒業後安いアパートに移り住む
卒業後、梁文锋は四川省成都市の安いアパートに移り住みます。彼はAIをさまざまな分野に応用しようと失敗を繰り返し、金融分野での応用でようやく成功しました。
2013年、梁文锋は人工知能とクオンツトレーディングの統合を試みるため、浙江大学の同窓生である徐進とともに杭州雅克比投資管理有限公司(Hangzhou Yakebi Investment Management Co Ltd)を設立しました。
2015年には、杭州幻方科技有限公司(Hangzhou Huanfang Technology Co Ltd、現在の浙江九章資産管理有限公司)を共同設立しました。
2016年2月、梁文峰と他の2名の工学系の同級生は、寧波幻方量化投資管理合伙企業(有限合伙)(Ningbo High-Flyer Quantitative Investment Management Partnership, Limited Partnership)を共同設立しました。チームは数学とAIを活用して投資を行いました。
High-Flyer AIを設立
2019年、梁文峰はAIアルゴリズムとその基本的応用に特化したHigh-Flyer AIを設立しました。この時点で、High-Flyerは管理資産額が100億元を超えていました。
2019年8月30日、梁文峰はゴールデンブル賞授賞式で「プログラマーの視点から見る中国におけるクオンツ投資の未来」と題した基調講演を行い、大きな議論を呼びました。
梁文峰は、クオンツと非クオンツの違いについて、投資判断を数量的・定量的手法に行っているか、それとも人間が行っているかが基準だと述べました。
クオンツファンドでは、決定を下すのは資産管理担当者ではなく、サーバーであると説明しました。
2021年2月、グレゴリー・ザッカーマンの著書『最も賢い億万長者 数学者シモンズはいかにしてマーケットを解読したか』の中国語版の序文を梁文峰が書きました。
その中で、仕事で困難に直面するたびに、ジム・シモンズ(アメリカのヘッジファンドマネージャー、数学者)の「価格にはモデル化の方法があるはずだ」という言葉を思い出すと書いています。
Nvidia製GPUを大量に購入
2021年、梁文峰はHigh-Flyerを運営しながら、AI関連のサイドプロジェクトのために数千個のNvidia製GPUを購入し始めました。
これは、業界の一部の人々から金持ちのおかしな趣味と思われました。また、梁文峰のビジネスパートナーの一人は、梁文峰の第一印象はひどい髪型をしたオタクで、やろうとしている事業の説明も下手だったと述べています。
梁文峰はただ「何か革命を起こすものを作りたい」と言うのみでした。
パートナーたちは、そんなことはByteDanceやアリババグループのような巨大企業にしか実現できないことだと思っていました。
DeepSeekを立ち上げ
2023年5月、梁文峰は人工汎用知能(AGI)の開発を発表し、DeepSeekを立ち上げました。
同月、36Kr(中国最大のベンチャー/ITメディア)のインタビューで、アメリカが中国に対してAIチップの制限を課す前に、High-Flyerが10,000枚以上のNvidia A100 GPUを取得したことを明かしました。
これがDeepSeekがLLM(大規模言語モデル)開発者として運営を行う基盤となりました。
また、DeepSeekはHigh-Flyerから資金提供を受けていると述べました。DeepSeekの設立当初、ベンチャーキャピタル企業は短期間での収益化が見込めないため、資金提供を渋っていました。
そのため、DeepSeekは長期的な目標を掲げ、経験ではなく能力と情熱を持つ人材を求めました。
2024年7月、梁文峰は36Krのインタビューを再び受けました。
DeepSeek V2がリリースされ、中国でAIの価格競争を引き起こしたことについて、彼はAIの価格がこれほどにも重要性を持つとは予想していなかったと述べました。
また、中国の経済が発展するにつれ、ただ便乗するだけでなく、貢献者になるべきだと述べました。
中国のイノベーションに不足しているのは資本ではなく、自信と才能を組織化する知識だと語りました。
DeepSeekは特に特別な人材を採用しておらず、従業員の多くは地元で教育を受けた人々です。破壊的技術に関しては、クローズドソースのアプローチでは他者の追随を一時的に遅らせることしかできないと述べました。
2025年1月20日、梁文峰は北京で李強首相が主催する「教育、科学、文化、健康、スポーツなどの分野の専門家、企業家との座談会」に招待されました。
業界の専門家と見なされている梁文峰は、2024年の政府活動報告に関する意見や提案を求められました。
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