埼玉県でラップをしている若者が主人公です。彼らのラップは埼玉ではなかなか理解されず、かといって東京に出ていく勇気もありません。結局活動はうまくいかず、ラップの仲間はバラバラになってしまいます。しかし、ラッパーになる夢を諦めきれない主人公は、最後ある行動に出ます・・・。
パッとしない若者が埼玉の田舎でラップをしているので、正直ダサいようにも見えます。しかし、なぜかかっこよく見える瞬間があります。ダサさを極めると、逆にかっこよくなるのかもしれません。
特に見どころはラストの即興のラップシーンです。カットなしの長回しなので、まるで生でラップのライブを見ているような感覚になります。
最後の即興のラップシーンが見どころ
最後、ニートだった主人公は、地元の居酒屋でアルバイトを始めます。仲間はバラバラになりましたが、主人公はまだラップの夢を諦めていません。そこに、元のラップ仲間が偶然やってきます。彼は交通整理のバイトをしていて、もうラップは止めたようです。
主人公は注文を取りに行ったときに、その友人の存在に気づきます。そして突然、主人公は友人に向けて即興のラップを歌いだします。
「俺はただのレジ打ちだが、まだ夢は諦めていないぞ」と主人公は夢を諦めた友人に歌います。それに対して「くだらない夢は諦めろ、これが現実だ」と友人は応戦します。
その後もラップのかけ合いが行われますが、友人はずっと後ろを向いたままで、なかなか主人公の顔を見ようとしません。しかし、最後主人公が「無視するな」と言った後、ついに友人はうつむいていた顔をあげ、主人公の顔を見ます。最後2人が目を合わす瞬間、映画も終わります。
2人ともラッパーになる夢に一旦敗れたわけですが、この最後のシーンでは、2人ともまぎれもなく「ラッパー」になっています。それくらいカッコいいシーンです。
前にも書いたように、このシーンはカットがなく延々と撮影が続きます。映画でありながら、生の即興ラップを見ているような感覚になります。
また、ラッパーというといかつい格好の人たちというイメージがありますが、この映画の主人公はけんかは弱いし、女の子ともうまく話すことができない人です。このギャップが面白いし、ラップをよく知らない人でも親しみを持ちやすいのではないでしょうか。
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