負のアイデンティティを背負った男性。映画『蛇のひと』感想

『蛇のひと』という映画を見ました。

アマゾンプライムビデオで偶然見てみたら、面白かったです。

簡単に言うと、自分は周りの人間を不幸にするという、「負のアイデンティティ」を獲得してしまった男性の話です。ジャンルは、ヒューマンサスペンスドラマです。

*追記。2回見ましたが、やはり素晴らしいです。映画の内容だけでなく、雰囲気も好きです。

主演は、永作博美と西島秀俊です。

第2回WOWOWシナリオ大賞を映像化したもので、ギャラクシー賞テレビ部門2010年3月度月間賞を受賞しています。アマゾンのレビューでの評価も高く、いろいろなところで評価されている映画です。

以下で、映画『蛇のひと』の「ストーリー」と「見どころ」、「キャスト」などを紹介します。ネタバレありです。

『蛇のひと』のストーリー

西島英俊と永作博美は、上司と部下の関係です。

西島英俊は有能で部下の面倒見も良く、多くの人に慕われる人物です。永作博美とも仲が良いです。

しかし、あるとき会社の部長が亡くなり、同時に西島英俊が失踪します。そしてそのすぐ後、会社のお金の横領が発覚します。

会社の人たちは、西島英俊が会社のお金(一億円)を横領して失踪したのではないかと疑います。永作博美は、会社から西島英俊を探すように命令されます。

その後、横領をしたのは会社の部長で、西島英俊は関係ないとわかります。

しかし、永作博美は西島英俊を探す過程である事実に気がつきます。それは、過去に西島英俊が関係した人の多くが不幸になっていることです。

たとえば、西島英俊は子どものころ、大量殺人事件の引き金となる行動をしていたのです。他にも、部長の死にも関係していました。

『蛇のひと』相関図

映画『蛇のひと』人物相関図

「西島英俊は負のアイデンティティを背負っている?」

これをふまえると、西島英俊は「サイコパス」に見えます。

しかし、映画ではそれが「わざと」なのか、それとも「結果的にそうなった」のかはっきりと示されません。

ただ、「事実」としてそうなっているとしかわかりません。それがこの映画の面白い点だと思います。

しかし、映画を最後まで見て思ったのは、西島英俊は自分の生い立ち(愛人の子ども)や過去の事件がきっかけで、自分は周りの人を不幸にするという負のアイデンティティを獲得し、それが固定してしまったのです。

そして、この負のアイデンティティに基づく行動が、結果的にさらに悪い結果を生んでしまうという、悪循環に陥ってしまったのだと思います。

「永作博美の友情」

しかし、そんな西島英俊を助けるのが永作博美の友情です。

永作博美は、西島英俊を疑いつつも関係を切ろうとはしません。むしろ、西島英俊に対して「(変なことしないよう)私がずっと見張っているから」と言い、関係を強めようとさえします。

西島英俊は、(おそらく周りの人間をこれ以上不幸にしないよう)自殺しようとしますが、その永作博美の気持ちを知り、自殺を止めるのです。

そして、映画では最後、西島英俊が関係した人の中で幸福になる人が現れます。西島英俊のアドバイスで大企業を退職し、長年漫画家を目指していた人がついに賞を取ったのです。

それで西島英俊が負のアイデンティティから解放されるきざしが見られたところで、映画は終わります。

「西島英俊の厭世感」

西島英俊さんは「厭世観」を表現するのがうまい役者さんだと思います。

人生に対する「やれやれ・・」的な、生まれてしまったのでしょうがなく生きている的な態度でしょうか。この映画でもそんな厭世観を持ったキャラクターをうまく演じていると思いました。

西島英俊さんは古くは『ニンゲン合格』という黒沢清監督の映画でも似たようなキャラクターを演じています。

『蛇のひと』のキャスト

『蛇のひと』のキャストは何気に豪華です。西島秀俊と永作博美をはじめ、田中圭、國村隼、板尾創路、劇団ひとり、ムロツヨシ、石野真子、佐津川愛美、勝村政信などが出演しています。

  • 三辺陽子(商社営業事務の独身OL): 永作博美
  • 今西由起夫(商社課長で失踪する男性): 西島秀俊
  • 今西の幼なじみ:板尾創路
  • 島田剛(会社を辞めて漫画家を目指す男性。今西の隣人):劇団ひとり
  • 田中一(今西を探す社員) :田中圭

『蛇のひと』の監督

監督は、森淳一さんです。窪塚洋介主演の『Laundry』や、伊坂幸太郎の小説を映画化した『重力ピエロ』、五十嵐大介の漫画原作を映像化した『リトル・フォレスト』などの作品を監督しています。

『蛇のひと』は、今なら「Amazonプライム・ビデオ」でも見られます。


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