女優のアンジェリーナ・ジョリーが監督をした映画です。
第二次大戦中、日本軍の捕虜になったアメリカ人男性が、日本軍の将校から虐待を受けながらも生き延び、生還する実話を基にした作品です。
捕虜になった男性は、オリンピック代表選手のルイス・ザンペリーニです。
映画『不屈の男 アンブロークン』のあらすじ
カリフォルニア州トーランスで生まれ育ったイタリア系アメリカ人のルイス・”ルイ”・ザンペリーニは、小さいころから素行の悪さが目立ち、盗みや酒、喫煙などの悪さをしていました。
また、イタリア系であることを理由に、周囲からいじめられることも多かったです。
ランナーになる
兄のピートは、ザンペリーニが走るのが速いのを見て、彼をランナーに育てようと決心します。
ザンペリーニは長距離を走るようになり、「トーランス・トルネード」というニックネームがつきます。
ザンペリーニは1936年の夏季オリンピックで8位に入賞し、5,000メートル走の記録を樹立します。
太平洋戦争に従軍
その後、ザンペリー二は太平洋戦争に従軍します。
1943年4月、ザンペリー二はB-24リベレーター爆撃機の機長として、日本軍が占領したナウル島への爆撃任務に従事します。
機体は戦闘で損傷し、多数の乗員が負傷します。タイヤが破裂していたにもかかわらず、滑走路へ着陸するのに成功します。
飛行機が墜落
その後、ザンペリーニは生き残った乗組員と数名の交代要員とともに、予備として使われていた飛行機で隊員の捜索活動に従事します。
しかし、エンジン1基が故障し、飛行機は海に墜落します。ザンペリーニは、フィルとマックという2人の乗組員とともに、2つのいかだに乗って生き延びます。
漂流27日目、彼らは日本機に見つかり、日本機は攻撃を加えて筏を損傷させますが、彼らは逃げ延びます。
日本軍の捕虜に
マックは6日後に死亡し、47日目にザンペリー二とフィルは日本軍に捕らえられます。
戦争捕虜となったザンペリー二とフィルは、クェゼリン環礁に収容されます。
日本に送られる
2人は死刑にはならず、日本に送られます。日本に到着すると、2人は別々の捕虜収容所に送られます。
東京の大森収容所で、ザンペリー二たちは、日本人伍長の渡辺睦弘の管理下に置かれます。
暴行を受ける
渡辺はザンペリー二に特に厳しく接し、繰り返し暴行を加えます。
ザンペリー二は、アメリカ政府が彼を戦死者扱いしていることを知り、自分が生きていることを伝えるメッセージを故郷に送る機会を与えられます。
しかし、反米のプロパガンダを含んだメッセージを放送するよう求められたため、彼は拒否し、収容所に戻されます。渡辺は、同じ捕虜たちに彼を殴らせます。
2年後、渡辺は昇進して収容所を去ります。東京大空襲で収容所が被害を受けたため、ザンペリー二たちは直江津収容所に移されます。
ここでザンペリー二は、軍曹に昇進した渡辺が再び指揮官となり、石炭運搬船への積み込み作業をしている捕虜たちを監督していることを知ります。
作業中に立ち止まってしまったザンペリー二は渡辺から罰を与えられ、大きな木材を頭の上に持ち上げるよう強制されます渡辺は「落としたら撃て」と看守に命令します。
ザンペリー二は見事に木材を持ち上げます。これに怒りを覚えた渡辺は、ザンペリー二をひどく殴るようになります。
解放される
終戦後、アメリカが日本を占領すると、ザンペリー二たちは解放されます。
ザンペリー二は渡辺の宿舎をつきとめ、渡辺を探そうとしますが、すでに逃げてしまっていることに気づきます。
ザンペリー二は座り込み、父と並んでいる子どもの頃の渡辺の写真を見つめます。
彼はアメリカに帰国し、地面にキスをします。
映画の最後には、実際のザンペリー二の姿と戦後の出来事がスライドショーで紹介されます。ザンペリー二は結婚して2人の子供に恵まれます。フィルも生き延びて結婚します。
渡辺睦泰はダグラス・マッカーサーによって日本の戦犯指名手配のトップ40に挙げられたにもかかわらず、身を隠して起訴を免れます。
ザンペリー二は、キリスト教に改宗し、神に人生を捧げ、戦時中の日本兵を許すという約束を守り、多くの日本兵と会いました。
しかし、何年経っても渡辺はザンペリー二に会おうとしませんでした。
エンディングタイトルでは、ルイ・ザンペリーニが2014年7月2日に97歳で亡くなったことが明かされます。
映画『不屈の男 アンブロークン』のキャスト、監督
キャスト
- ルイス・“ルイ”・ザンペリーニ(日本軍の捕虜になる長距離ランナー) / ジャック・オコンネル
- ラッセル・“フィル”・フィリップス(ザンペリー二とともに捕虜になる兵士) / ドーナル・グリーソン
- ジョン・フィッツジェラルド / ギャレット・ヘドランド
- 渡邊睦裕(捕虜を虐待する日本兵) / MIYAVI
監督
- アンジェリーナ・ジョリー
映画『不屈の男 アンブロークン』の感想
いかだで「47日間」漂流
まず驚くのは、ザンペリー二が日本軍に捕まる前、なんと47日間もいかだで漂流したことです。ザンペリー二の乗ったB24爆撃機が事故で海に不時着したからです。
途中、彼はサメに襲われたり、嵐に遭遇したりしながらも、なんとか生き延びます。
これだけでも一つの映画になりそうですが、彼にとっての地獄はこれから始まるというのも辛いです。
日本軍将校「渡辺」に虐待を受ける
ザンペリー二が残酷な将校に目をつけられ、ひどい虐待を受けるシーンも印象的です。
たとえば、その将校はザンペリー二に大きな板を持ち上げるように指示し、下ろしたら撃つぞと脅します。そして長時間板を持ち上げさせ、ザンペリー二を苦しめます。
この将校は渡邊睦裕という名前で、アメリカのテレビ番組のインタビューで虐待の事実を認めており、手記も出しています。
<渡邊睦裕の動画>
具体的な虐待行為は以下です。これだけ見ると完全にサイコパスに見えます。
- 捕虜たちを度々殴打し、重傷を負わせた。
- 冬の時期、捕虜である将校を掘っ立て小屋の中でふんどし1枚にして4日間過ごさせた。
- 65歳の捕虜を16日間木に縛り付け、毎晩殴るように部下に命令した。
- 虫垂切除患者で柔道の練習をした。
- 捕虜虐待によって性的快感を得ていた。
- 情緒不安定であり、捕虜を1分間殴り続けた後に、キャンディやタバコを捕虜に差し出した。
- 大森収容所の捕虜の中でも特にルイス・ザンペリーニに対し関心を持った。ザンペリーニが渡邊に対して反抗的だったからである。渡邊はザンペリーニに対して重い木製の梁を37分以上担がせ、それが終わると彼の腹を殴って虐待した。
- 捕虜を一列に並ばせ、敬礼をさせ、ミスをした捕虜を殴りつけた。
しかし、映画のタイトルにもあるように、ザンペリー二は「不屈の精神」で耐え、無事帰国します。その後ザンペリー二はPTSDで苦しんだそうですが、当時のことを「許す」ために日本を訪れています。
捕虜虐待のシーンが話題になったようですが、どちらからというと、ザンペリー二の経験した出来事を淡々と描写している、ドキュメンタリーに近いような印象も受けました。
映画を見たら、日本軍の捕虜にはなりたくないと思いました・・。
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