トム・リーとペリリューの記録
本書に挿絵を提供している画家のトム・リーは、ペリリューでの自身の体験を、1988年にダラスのスティル・ポイント・プレス社から出版された『バトル・ステーションズ』に記している。
本書に収められたスケッチのいくつかは、テキサス大学オースティン校が刊行する学術誌『Discovery』第14巻第2号に、解説付きで再掲載された。この号において、『From Here to Eternity』の著者ジェームズ・ジョーンズは次のように書いている。
戦前の作風と評価
「リーは、『Life』誌によって戦地に派遣された画家の一人であった・・・。彼の作品のいくつかは『Life』誌に掲載されたが、彼がペリリューに行くまでの時点では、その多くは出来栄えこそ優れていたものの、高級なプロパガンダにかなり近いものとして分類できた。
そこにはアメリカ兵の血はほとんどなく、緊張感もほとんどなく、恐怖もほとんどなかった。たいていは、「ブラボー、アメリカ!」とか「さすが我が息子!」といったタイプの戦争画と呼べるようなものだった。彼のほとんど写真のような作風は、その種の作品にぴったりだった」。
ペリリュー体験による変化
「しかし、ペリリューに行ってからは、リーに明らかに何らかの異変が起きた。ペリリューでの体験をもとに描かれた彼の絵は、新しい方向性を示していた。そこに描かれた兵士たちの体には、恐怖の緊張がみなぎっており、砲火の下にある歪んだ表情もまた、それを物語っている」。
「二千ヤードの凝視」

ペリリュー島に従軍した従軍記者トム・リーの作品『2000ヤードの凝視』
「もちろん、最も有名な作品の一つは、若い海兵隊員を描いた「二千ヤードの凝視」である。
彼は、もはや耐えられる限界に達したか、あるいは限界を超えてしまった様子が示されている。見開かれた目、力の抜けた唇、夢遊病者のような立ち姿。あの表情を浮かべた男たちを、私は見たことがある。
そして、私自身の顔にも、あの表情が浮かんでいたことがある。それは、顔がこわばったように感じられ、微笑もうとしても、表情を作ろうとしても、あるいは話そうとしても、筋肉が思うように動いてくれないのだ。
ありがたいことに、しばらくの間はその状態から離れていられる。だが無情なことに、その麻痺の奥底では、いずれまたそこへ引き戻されることを、自分でも分かっているのだ」。
掲載に関する注記
本書は、テキサス大学オースティン校の雑誌『ディスカバリー』の許可を得て再掲載されたものである。
本書に収録されたトム・リーの作品は、作者の許可を得て掲載されている。各作品に付されたキャプションは、いずれも作者自身の言葉によるものである。

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